
スポーツだけではなく、プラスアルファの形でスポーツと関わるキラキラした人物。
スポタスでは、『スポタス人』のインタビューを通じてスポーツとの様々な関わり方を発信しています。
今回はバドミントンの全日本総合選手権(以下全日本総合)とSJリーグ金沢大会を終えたばかりの坂井一将選手にインタビューをしました。
坂井 一将(さかいかずまさ)
1990年石川県生 金沢学院クラブ所属。
10歳の頃からバドミントンを始める。
高校卒業と同時に単身インドネシアに。3年間でバドミントンの腕を更に磨く。
2011年に帰国し社会人リーグトップの日本ユニシスに所属し、2014年~2016年で全日本社会人選手権大会3連覇の偉業を達成する。2017年には自身初の日本ランキング1位に輝く。
2020年1月現在も日本ランキング4位に位置し、トッププレーヤーとしてバドミントン界を牽引する。
オフィシャルサイト:SAKAI KAZUMASA OFFICIAL WEB SITE
前編はこちら
赤木:やはり金沢学院クラブに移籍した事で環境がガラッと変わりましたか?
坂井:そうですね。学校の職員として学校がバックアップしてくれるのは有難いです。職場の人もバドミントンの練習を優先してくれていますので、今後も結果で恩返ししていきたいと思っています。
赤木:他にも変化はありましたか?
坂井:スポンサーが個人についた事は大きいですね。日本ユニシスにいた頃は個人にスポンサーがつくということは無かったので。バドミントン選手で個人にスポンサーがついている選手は本当に限られています。そんな中で色んなスポンサーがついて下さると簡単には負けられないと感じますね。
準々決勝の時のように点差が開いても「負けたくない!まだいける!」という心理状況を作れるようになって、それがベスト4に入った要因でもあります。
赤木:そういった期待を背負う事で力に変えているんですね。
坂井:そうですね。ユニフォームにスポンサーのロゴがつくのは自分にとっても頑張る源になっています。
▲スポタスのロゴも坂井選手の力になれたなら感無量です。
赤木:練習環境についてはいかがですか?
坂井:純粋な設備面などで言うと、やはり日本ユニシスにいた時の方が整っていますね。日本ユニシスではコーチがいてノック出ししてくれたり、チーム専属のトレーナーがいます。そういう意味では日本ユニシスでは恵まれていたと思いますし、良い環境を与えてもらっていた事には感謝しています。
赤木:やはりそういう面では日本ユニシスの方が恵まれているんですね。
坂井:でも、それ以上に地元である金沢が自分にフォーカスしてくれて全日本総合の後も応援し続けてくれていますので、それが大きなモチベーションになっています。
練習環境に関しても、それを言い訳にしたくないと思っているので。むしろ日本ユニシスでやってきた経験を活かして、自分で練習メニューを組んだりチームのメンバーに教えて全員でレベルアップしていけるようにしたいと思っています。
赤木:坂井選手はそういった自分で切り拓くというスタイルが凄く合いますね。
坂井:それに、応援の質が変わったと感じるようになりました。
赤木:応援の質ですか?
坂井:全日本総合でベスト4に入った時は地元の新聞で大きく取り上げてもらいました。SJリーグ金沢大会の時も夕刊の一面や朝刊に出る事ができて、テレビで特集を組んで放送してもらったりもしました。こういった事は日本ユニシスにいた頃には無かったので、地元金沢という大きなコミュニティが自分の活動を応援してくれていると感じます。
赤木:先日SJリーグ金沢大会でチームとして今期初勝利を飾りましたが、SJリーグについてもお話頂いていいですか?
坂井:SJリーグは日本ユニシス・NTT東日本・トナミ運輸などが参加している国内最高峰のリーグ戦ですが、クラブチームとしてSJリーグに入っているのは2チームほどで、ほとんどのチームは企業の実業団です。そんな中でも地元金沢のクラブチームとして勝ち星をあげる事ができたのは嬉しかったです。
赤木:チーム戦だと坂井選手だけが勝つというわけにはいかないですからね。。チームとして勝利する為に何か工夫した事などありますか?
坂井:まずはチームとしての意識をトップチームに近づけるようにしました。意識がトップチームに近づかないと話にならないので。他には練習に取り組む姿勢だったり、試合に臨むにあたっての気持ちの入れ方だったりについて、自分なりにやってる事や意識しているポイントについて伝えるようにしています。
赤木:日本トップの選手が教えると説得力がありますね。
坂井:それが正解なのかは分からないので強要はしませんが、選手達に『そういう考えもあるのか』という選択肢が増えるようにしています。
赤木:技術的なコーチングなどもされるんですか?
坂井:私自身がシングルスの選手なので、シングルスの選手には技術の話もしたりしますね。ダブルスのついては練習に取り組む姿勢だったり、ウォーミングアップの方法を教えるくらいですね。
赤木:実質的な選手兼監督みたいな立ち位置に近いですね。
坂井:それはありますね。私が言うから説得力がある事もありますし。その為にも結果を出して選手達がついて来てくれるように、皆の見本になるような自分になりたいと思っています。選手としても今年以上の結果を求められますし、もっと自分にプレッシャーをかけないといけないと感じています。
SJリーグでは私が1勝しても、ダブルスでの1勝が必要になります。自分のレベルアップだけじゃなく、他の選手もレベルアップしてもらわないと困るので、金沢学院クラブというチームを強化していかないといけないと思っています。
赤木:腰痛が酷いなかで大会に臨んだという事でしたが、今はもう大丈夫ですか?
坂井:現在は完治しています。腰痛は全日本総合の時がピークでしたね。ここ3年ほど、怪我で世界選手権に出られなかったり、全英オープンやアジア大会も出場できなかったりして悔しい思いをしてきました。怪我についてはセルフケアを一層大事にしていきたいと思っています。
赤木:そういったケアもご自身でされているんですね。
坂井:そうですね。でも、今は自分で練習量をコントロールできるので、休むべき時は休んで追い込む時は追い込むようにメリハリをつけています。甘えだけは出ないようにしていきたいですね。
赤木:その辺りも自分でコントロールできる意思が凄いです。
赤木:日本ユニシスにいた頃に比べると役割が凄く増えていると思いますが、大変だと感じる事はないですか?
坂井:大変な部分も多いですが、それ以上に得られるものの方が多いですね。日本ユニシスにいた頃はバドミントンを中心にやっていましたが、今はクラブ全体の事・学生へのバドミントン指導・学生募集と多岐に渡ります。そのお陰で、選手としての視点だけじゃなく指導者としての視点も得られますし、クラブ全体を見る視点も得る事ができます。
例えば大学生に指導している時は、自分の感覚だけで伝えるのではなく、相手にどう伝えたらレベルアップできるのかを考えるようにしています。こういった環境のお陰で、『考える』ということを強く意識できるようになりました。だからこそ、全日本総合でファイナルゲームになっても柔軟に考えて戦略を立てられるようになったんだと思います。
赤木:なるほど、視点が増える事によって試合でも思考の幅が広がったんですね。
坂井:これは大学生の指導でも大事にしていて、『自分で考えて行動するように』というのは常に伝えています。
赤木:最後に、今後の目標についてお聞きできますか?
坂井:日本ユニシスに移籍して人生初の日本一を経験する事ができました。今度はそれを金沢学院クラブで経験できるようにしたいです。
赤木:それは全日本総合で優勝という事ですか?
坂井:全日本総合もそうですが、他にも全日本社会人やランキングサーキットなど、日本一を決める大会でもう一度優勝できるようにしたいです。そして、学校・チーム・応援して下さる方に日本一を取ったと報告したいです。
▲目指すは金沢の地から日本一
いかがでしたでしょうか。
地元の期待を一身に背負い、新しい道を進む姿はまさに挑戦者です。
スポタスでは『スポーツ+何か』を持った人をこれからもご紹介していきます。